神道はなぜ教えがないのか/島田裕巳【著】

今回は「神道」に関する本です。

私は特に神道に思い入れがある訳ではないのですが、お宮参りや厄払いなど、事あるごとに神社にお参りしていますし、家を新築するときには神主さんに来てもらって地鎮祭もしました。

ただ、神道の信者かと聞かれると、堂々と「違います。」と言えてしまうこの感じは一体何なんだろう。。。

以前から抱いていたこのモヤモヤした疑問の正体を探るべく、本書を手に取りました。

 

本書の著者は、宗教学者の島田裕巳氏です。

同氏は宗教学者だけあって宗教に関する著書が多数あります。ネットで少し調べたところ、最近では「NPO法人 葬送の自由をすすめる会」という、遺骨をお墓に埋めるのではなく海や山に撒いて自然に戻す「自然葬」を広める団体の会長を務めているようです。

 

本書は私が以前の記事で紹介した『空飛ぶ納豆菌』と同じように、人を惹きつけるタイトルを付けていますが、内容は神道についての入門書のようなものです。

神道はそもそもどのようにして始まったか、仏教の影響を受けて何が変わり、何が変わらなかったか、そしてなぜ神道が現在まで我々日本人の民族宗教としてあり続けているのかなど、神道にまつわるエッセンスについて非常に分かりやすくまとめられています。

 

そこで鍵となるのは、「ない宗教」としての神道です。神道には、開祖も、宗祖も、教義も、戒律も、教団も、入信のための儀式もありません。

今まで全く意識したことはありませんでしたが、言われてみれば確かに何もないことに気づかされます。本書ではこの「ない宗教」という視点から神道の特殊性を紐解いていきます。

 

その他にも「神道とイスラム教の共通性」(第8章)や、神主の存在意義や僧侶との違い、神道と仏教が平和的に共存できた理由など、日本人であれば知っておいて損はない(むしろ知っておいた方が良い)と思われる話がたくさん出てきます。

新書ということもあり文体は平易ですし、200ページ強しかないのであっという間に読めます。

 

神道はなぜ教えがないのか (ベスト新書)

神道はなぜ教えがないのか (ベスト新書)